「「成功」できたのは伴侶の経済力のおかげ? では「成功」できない理由は─?」 おすすめ度:
投稿日:2004-07-31
スポーツライターになるためには「お笑い芸人」になるか「有名なスポーツ選手」になるか、あるいは「経済力のある伴侶をみつけるべし」が「条件」なのだとこの本の著者は言う。御自身がそう実感しているというのなら、その実感の当否を疑うのはよしておく。
しかし、「ある編集者から、●●さんの奥様は生活力のある女性だと聞いた。だから●●さんはそれほどあくせく稼ぐ必要がなく、取材のたびに出てしばらく帰らなくても許される環境にあると」と書いているのはどうかと思う(「●●さん」は、ある高名なノンフィクション作家。この本の中では実名だが、●●さんの名誉のためにここでは名前を伏せる)。この本の著者は●●さんの作品を高く評価しているのだが、それは●●さんの奥様が生活力があるからだという浅薄な裁断を下して片付けているのである。
しかも、そんなノンフィクション作家の尊厳に関わるような評価の裏付けを、この本の著者は、「ある編集者から聞いた」というような噂話に依拠して書いているのだ。本人がこの本の著者にそう言ったわけでもないのに。
「ある編集者」とやらが(飲み屋かどこかで)喋ったような噂話をそのまま活字にしてしまう(しかも自説を強化する重要な傍証として)、そんな執筆倫理の持ち主が、ジャーナリズム論を講釈しているのである。「取材」の在り方を語っているのである。いやはや……
「成功」している人は、「成功」していない人から、どう妬まれるかわかったものではないんですね、ということを強く感じさせられる本です。