「スポーツを知りたい人は本書からだが」 おすすめ度:
投稿日:2008-01-23
スポーツについて論じられた書籍が世に出回ることは少ない。あるのはスポーツの方法論か専門雑誌くらいである。超大型書店に行ってみると初めて「スポーツ」と書かれた箇所で細々と遠慮気味に置かれている程度だ。しかし、大学の図書館などに行ってみるとそのような類の書籍や論考が溢れんばかりにある。スポーツを専門に研究している学者も意外に多いが、それらの成果が中学や高校、一般レベルにおりることはほとんどない。要するに閉鎖的なのである。これはいかに日本にスポーツ文化が根付いていないかを如実に表している。
本書は書かれていることの多くは基本的なことではあるが、大学や一部の競技関係者たちによって独占状態だったスポーツ文化の知識を大衆レベルにまで拡大したその功績は大きい。中高生でも読める文体なのでとりあえずスポーツについて知りたいと思った人は本書を手に取るのが堅実だろう。
翻って(?)、本書の気になる点。筆者は野球好きの野球批判者だからなのか欧米の地域密着型のクラブチームをそのまま日本に当てはめようとしている節がある。しかし、地域密着型というと聞こえはいいが閉鎖的な部分が多分にある。欧米ではもともと家族への帰属心が非常に強いし、キリスト教という明確な指針もあったので成功しただけかもしれない。逆に日本では高度経済成長以降、共同体は悉く破壊され、人数だけの集団となっているほとんどだ。宗教に関しても、戦後まもなくから無宗教という人種があれわれる国民性だ。そこで地域密着型のクラブは成功するのか?私見では微妙というほかにないが、取り越し苦労であることを願うばかりだ。
「◆日本のスポーツ文化に対する偏見と悪意に満ちた愚論」 おすすめ度:
投稿日:2007-11-21
本書の著者・玉木正之は
「スポーツは基本的に単なる【気晴らし】であり【遊び】なのに、
勝ち負けにこだわったり、スポーツに忍耐を要求する日本のスポーツは間違っている
それ故に日本のスポーツ選手は世界で勝てない云々」と主張しています。
しかし、
■「遊び」と「文化」に関する不朽の名著
「ホモ・ルーデンス 人類文化と遊戯(中公文庫)」の中で著者のホイジンガは
「現代の組織化、職業化されたスポーツは【遊び】の要素をほとんど失っており、
現代スポーツは遊びの領域から遠ざかった結果、記録等が飛躍的に伸びた」
と指摘する一方で、
「古来から【遊び】には【我慢比べ(競争)】の要素が必ず含まれており、
特に近代以前の戦争は【遊び】の要素を極めて数多くそなえている」と述べています。
本書の著者玉木正之の主張とは全く裏腹に
「我慢比べ(競争)こそが遊び(スポーツ)の本質だ」というのが現実です。
玉木という異常な人間の目的は、
スポーツに本気で取り組んでいる日本の若い人たちから、
「試合に負けて悔しいと思う気持ち」を完全に奪い去り、
日本の競技スポーツを崩壊させることです。
玉木の詐欺的な詭弁を日本の若い人たちが「本当だ」と信じ込んでしまえば近い将来
日本の各競技のナショナルチームが五輪やW杯に出ることさえできなくなるのは確実です。
そうなった時に玉木はこう言うでしょう、
「スポーツは【遊び】であり【気晴らし】なんだから五輪やW杯に出られないからってガタガタ騒ぐな、日本人はスポーツが分かっていない」
日本のスポーツ指導者の皆様やスポーツ選手の皆さん、
どうか玉木の詐欺的な愚論に騙されず、
御自分の頭で「日本のスポーツ文化の素晴らしい部分」に関して学び、考えてください。
「スポーツの面白さを十分に紹介。」 おすすめ度:
投稿日:2007-02-17
スポーツライターの草分け的存在の著者が自らのスポーツ観を披露。斬新な、しかし必要な視点が多くありとても面白かった。文庫用に書き直したおかげで、旬なネタもたっぷり。しかし、巻末に紹介されている参考文献の中の何冊かを読んだことがあるが、その本の内容がところどころ出てきており、すべてが著者のオリジナルな意見ではないのが分かる。別に悪いことではないのだが。また、「スポーツ人口の増加=競技力の向上」ということを謳っているが、ほんとうにそうだろうか?確かにその可能性は広がるだろうが。今現在、世界的に活躍しているプレーヤーたちは、どちらかというと英才教育による特別な訓練を受けている人が少なくない。内容として表面的で薄いと感じるところもあった。一般の人たちに広く読まれることを意識しているからかもしれないが、「解体新書」なのだから、真髄がみえるような深い部分も語って欲しい。