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優生学と人間社会―生命科学の世紀はどこへ向かうのか (講談社現代新書)

米本 昌平/ぬで島 次郎/松原 洋子/市野川 容孝
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優生学と人間社会―生命科学の世紀はどこへ向かうのか (講談社現代新書)の詳細
  • おすすめ度:まだ評価されていません。
  • 出版社:講談社
優生学と人間社会―生命科学の世紀はどこへ向かうのか (講談社現代新書)のカスタマーレビュー

「合理的で科学的で冷静で・・・近代的な、「優生学」という学問」 おすすめ度:レビュアーのおすすめ度 投稿日:2006-05-08

「優生学」と言えば、現代では「まず否定されるべきもの」というお約束が確立しているように見える。そのイメージは、例えばナチスによるホロコーストに代表されるものであろう。

だが、優生学の歴史を紐解けば、そうしたイメージは実に一面的で、多くの事実を無視したものであることが明らかになる。それは、きわめて合理的・科学的であり、冷静な善意に基づいて推進された「近代の中の近代」とでも形容すべき知の潮流であった。ドイツ優生学はナチスにすべてを押し付けて済まされない広がりを持っているし、その起源たるイギリスの優生学の流れはアメリカ合衆国へ滔々と流れ込んでいる。北欧福祉国家が断種法の下で多数の強制不妊手術を行なっていたのはいまやよく知られた事実であるし、日本の優生政策が現行のように改まったのはつい10年ほど前の話でしかない。

優生学とは、遠いナチスの歴史だけではなく、我々のすぐ足元にあるのだ。本書に登場する優生学者の物言いに、思わず知らず説得されてしまいそうになる自分に、戸惑いを覚えずにはいられない。それは、紛れもなく「近代」という問題の本質を突く「学」なのである。おそらく、今後もことあるごとに甦っては、人々を惹きつけてやまないことだろう。我々は今後、優生学にどう向き合っていくことができるのだろうか。

「「優生学=ナチズム」の図式を越えて」 おすすめ度:レビュアーのおすすめ度 投稿日:2004-08-11

 優生学がどのようなものであったかということがたんねんに書いてあります。新書にしてはかなり専門的な内容ですが、優生学=ナチズムという単純なイメージを書き換える内容になっていますし、遺伝子診断の発達とこれからの優生学についてもわかる密度の濃い内容になっています。

「優生学の危険性はナチズムだけではない」 おすすめ度:レビュアーのおすすめ度 投稿日:2002-07-10

これを読むと出生前診断で危惧される優生思想は、ナチズムのあるところ以外でも北欧や日本等、どこででも普及しかねないなと思います。過去の歴史から。

この頃時々、障害児を生まない権利が北欧で保障されてる、などという誤解があります。でも、この本を読む限り、そうは言えないです。

世界中で、自己決定、という形で新たな優生学が広まっている懸念を、特に第3章の筆者が強調しています。その流れの中に日本も北欧も含まれているという主旨です。

’生む本人の自己決定なのだから優生思想ではない’という言葉のもと、実行されている出生前診断。その中で、日本だから、または北欧は福祉が盛んだから例外だろう、ということはない。どこでも危険性はあるのだ、そう感じさせられました。