「人を救う戦場、医者を育てる現場、命を考える迷路」 おすすめ度:
投稿日:2006-06-12
命を救う最前線は、気力と体力がものを言う厳しい現場だ。そこで、ベテランは命と同時に人生を救い、家族を救い、或いは共に痛みを味わい、無言で支え、若い研修医を叱咤激励し、教育する。
「死の宣告」がどれほどむごくても、家族に伝えなければならない責任を負うことの恐ろしさ、やるせなさ、辛さ。それを卒業試験と称する救命センターでの最終章は、読み手にもけっこう堪える内容だった。
しかし、現実を受け入れる力を、命のやり取りをした医師その人から貰わなければ、宣告されなければ、家族には何も見えない。何も信じられない。
人は、健康も人生も時間も「湯水のようにいつもあるもの」と思って生きている。しかし、それは一瞬のうちに覆され、タッチの差で救命のチャンスは失われ、何十人もの献血があっという間に消費され、蘇生の甲斐もなく潰えていく儚いものだという事を意識せずに生きている。ありがたくも、運のいい事に。
私がこの本から受け取るのは、命の尊厳を守ろうとする強靭な「在り方」への尊敬と感謝である。
「人間愛に溢れるドクター」 おすすめ度:
投稿日:2006-04-14
救命室の息遣いまで聞こえるほど、鮮明な描写力を持つが、それに流されない知性に満ちた乾いたような文章で読みやすい。
使命感を消失した医師が多い、拝金主義に走るなど近頃の医師に対する世間の風当たりが強いのは、別に世間が悪いのではなく医師自体のモラルの低下に相違ない。しかし、ここには救命とは何か、命とは何かを真剣に考える真の医師たちもいるのだ。
「考えます」 おすすめ度:
投稿日:2005-08-19
救命医療の現実を考えさせられるこの一冊。医療関係の方必読の価値あり。
「ここには優れた人間ドラマがある!!」 おすすめ度:
投稿日:2004-01-07
浜辺ドクター3冊目のエッセイ集です。まだ文庫化されていませんので、単行本で読んでください。文筆業が板に付いてきたせいか、内容的にも格段の進歩をとげています。間違いなく傑作です。本当に、医者にしておくのがもったいない人です。
冗談はさておき、浜辺さんの本が面白いのは、第1に、人間観察が鋭いからです。救命センターは、文字どおり、追いつめられた患者や家族の戦いの場です。不安感や孤独感から、心は屈折し、医者や看護師に八つ当たりしたり、心を閉ざしたりします。そういう患者の入り組んだ心理分析は、なかなか鮮やかです。2番目には、ほどよいユーモアがあることでしょうか。特に婦長さんとの会話は、掛け合い漫談みたいです。3番目は、よく知られた病例や負傷例の解説が面白くて、しかもためになることを挙げておきましょう。まあ、この辺のことは、初出の掲載雑誌の読者層を考えたら、当然のサービスかもしれませんが。
ともあれ、いつものように、医者の罪深さという痛奏低音も流れていて、ほろ苦い大人の味が隠されています。