「内科的に怖い」 おすすめ度:
投稿日:2004-03-18
バブル期に書かれたもので、それに言及してサラリーマンのストレスを論じている部分などは時代を感じさせるけど、これほど病理学的にアル中の恐ろしさを描いた本も珍しい。
著者は精神分析医なので、内科的な所見については「エイヤッ」で書ける部分もあるのだろうけど、素人にはそれがありがたい。
「ついには軟らかかった肝臓は収縮してコチコチになり、血液さえ通さぬ瘢痕と化した『肝硬変』になるのである」(p.81)という描写は怖い。直感的に分からせてくれる。学がないからかもしれないが、肝硬変が「血液さえ通さぬ」ようになるとは知らなかった。
「糖尿病が恐ろしいのは、全身のあらゆる血管がつまりやすくなるからだ。心臓の血管がつまれば心筋梗塞、脳の血管がつまれば先ごろ亡くなった闇将軍のように脳梗塞、眼底の血管がつまれば網膜変性症、腎臓の毛細血管がつまれば透析を受けなければならなくなるなど、恐ろしい合併症の数々を起こすからだ」(p.85)。やだやだ。
それと、これも初めて知ったのだが、ジョンズ・ホプキンス大学のアル中自己診断テスト(pp.110-111)。日本でアル中テストというと国立久里浜病院が開発したKISTAというのがあって、2点以上は重篤問題飲酒者と採点されるのだが、 ちょっとした酒呑みでも重篤に分類してしまうようなテストは疑問だった。その点、ジョンズ・ホプキンスのテストは納得的なものだと思う。筆者はジョンズ・ホプキンスのテストについて「精神的な不適応から酒に逃避するタイプのアルコール依存症によくあてはまる」とか書いているけど、個人的にはKISTAよりよっぽど優れているのではないかと感じた。