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心病める人たち―開かれた精神医療へ (岩波新書)

石川 信義
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心病める人たち―開かれた精神医療へ (岩波新書)の詳細
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  • 出版社:岩波書店
心病める人たち―開かれた精神医療へ (岩波新書)のカスタマーレビュー

「精神障害を知る、最初の一冊 」 おすすめ度:レビュアーのおすすめ度 投稿日:2006-08-27

日本の精神医療はどのように形作られてきたのか、精神障害のある人たちと私たちはどのようにつきあっていけるのか、まず手にとっていただきたい本です。できれば森実恵『“心の病”をくぐりぬけて』 (岩波ブックレット)をあわせて読んでください。

「「精神障害」に直面した人への最高のバイブル。」 おすすめ度:レビュアーのおすすめ度 投稿日:2006-05-26

 著者、石川信義の立脚点は明確である。あとがきに率直に語られている。
「はじめて精神病棟のなかを見たとき、私はしんから怒った。精神病院の仕事にのめりこんでからも、その周辺には、怒る種があまりにも多すぎて困った。とどのつまりは、それらの怒りは、日本という国そのものに行きつくことになった。」(248頁)
 石川信義は、群馬県太田市に三枚橋病院という全開放をめざす病院を設立、「赤マーク方式」という仕組みを考え、一時代を画した人。三枚橋の「赤マーク方式」は全国に普及するかにみえた。「三枚橋まいり」という言葉が流行した。
 しかし、その後の、日本の精神医療界は、石川の「怒り」を忘れ、素早く転身していった。精神衛生法が改定された。更に精神障害者対策として様々な法が作られていく。
いずれも、精神障害者という当事者の生活をしばり、精神障害者への偏見を増長する法であった。
 医療者側は近代化、合理化をすすめた。しかし、精神科病院の外観は美しくなったが、内実は不変であった。このように思いながら現在の日本の状況をみている私がおかしいのか。いまや、怒る感性をもつ者はいるのかと問いたくなる。
 この書は、まことに新鮮である。高野山にこもって書かれたというこの作品は、石川の思いが凝縮し、読者は石川の心のうねりに一気にのみこまれてしまう。読み終えた後のすがすがしさ。最高。
 精神障害という問題に直面した人たちへの最高の贈り物であると信じる。
 私の結論はこうであった。
 『心病める人たち』とは、「精神障害者」と言われている人たちを恐れ、むごくあつかう人たち、およびそれを推進してきた日本国を指すのではなかろうか。

「精神医療の実態を鮮烈に描く」 おすすめ度:レビュアーのおすすめ度 投稿日:2004-02-16

 精神科医の筆者が、日本の戦前戦中戦後にいたる精神病患者の扱われ方と、自らの奮闘を克明に書き上げた。
 日本の精神医療の現場がいかに過酷で陰惨なものであったか、それらを見てみぬ振りしてきた国のいかに残酷なことか。

 精神分裂病を治療するという概念よりも先に、「危険」と決め付けられた精神病患者を隔離幽閉し、世に出させないようにするために存在した精神病院。それは、治療など行わず、ただ人を家畜以下に扱うだけの収容所として存在していた。

 筆者は精神医療の現場に飛び込み、のち自ら開業し、さらに20年以上の歳月を費やし、群馬県太田市に患者と地域をつなぐ掛け橋を築いてきた。それらの苦闘と成果を克明に告白している。

 私自身もこれまでボランティアを続けてきて、いわゆる知的障害者更正施設に出向き、自閉症やそれに類する症状を持った人たちと数多く出会ってきた。それだけにこの本を読んでほんの何十年か前の日本がいかに恐ろしい社会だったかを感じずにはいられなかった。

 今も万全とはいえない福祉。だが、本に登場する陰惨な現場は今の福祉社会ではあまり見られないものだ。障害を持った人たちがある一定の療養を経て社会に出る。そのために精神医療を支える善良な人々がどんなに苦労を重ねてきたのか、言葉にならない。もう少し知識を蓄えて福祉と向き合う必要があることを考えさせられた。