「単なる感傷ではない闘病記」 おすすめ度:
投稿日:2006-03-02
数ある小児がんの闘病記の中では、社会学者である母の比較的冷静な眼を通している点で異色の母と17歳の子による闘病記である。亡くなったこどもの闘病記が多い中、数少ない治療で良くなった児の小児がん闘病記の一つである。多数の文献を引き、感情的な記載をできるだけ排除している一方で、病める児の母としてときに感情的混乱が見える文章は、がんにかかわる医療従事者にとって大いに参考になるばかりでなく、がんの家族を持つひとにとってもその自らの闘病において参考になると共に励みとなるに違いない。また、はからずも、現在の日本が結果的に目指している米国、カナダの医療、医学教育システムのがん治療における問題点が浮き彫りになっているのはこれもまた、興味深い点である。各章ごとの監訳者による自らの経験に基づいた短い解説文は、一般のひとにも本書の内容を分かりやすいものにしてくれる。